NHKスペシャル“中流危機”を越えて 「第1回 企業依存を抜け出せるか」を観て思ったこと
このNHKスペシャルを観て、深く考え込んでしまった。
テーマのひとつは「日本の賃金が上がらないのはなぜか?」だったが、要因はいくつか思い浮かぶ。
①政府
②企業
③国民(個人)
バブルが崩壊し、90年代に入ってから、①〜③みんなそれぞれ間違った選択をしたと思う。
でもそのどれもが「良かれと思って・・」とそっちを選択したのだ。
決してワザとやったわけでも、無能だったわけでもない。
90年代に入ってから欧米は時代に合わせてうまく変化してきた。
だけど日本はできなかった。
番組では2組の家族が紹介されていた。
どちらも真面目に仕事をし、結婚もし、子供も3人もつくり、マイホームや車も買ってくれた人たちだ。
別に会社からリストラされたわけじゃない。
能力的にも決して無能だったわけでもないだろう。
それなのに、どちらも経済的にかなり苦労しているようだった。
一方の家族はマイホームを手放すところまで追い詰められていた。
正社員という立場でありながら、だ・・
給料が上がらないのだ。
想定が崩れた。
将来の計画が狂った。
真面目に働いてきたというのに・・
僕はこの二組のご家族を観て、率直に「もったいない」と思った。
よく考えてみたら、彼らは日本経済にとても貢献してくれた人たちだ。
これだけ晩婚化や少子高齢化が問題視されてるなかできちんと結婚をし、子供も3人ももうけてくれたのだ。
それだけでも国は彼らに感謝すべきだろう。
それに加えて、彼らはどちらも何千万円という借金をしてマイホームを買い、車も買ってくれた。
子供の大学費だって相当払っただろう。
家族で旅行にも行っただろうし、外食もしただろうし、おもちゃも買っただろう。
塾代だって馬鹿にならなかったはずだ。
どれもこれも日本経済に貢献してくれてる。
彼らのような人たちがモノやサービスにお金を落としてくれたおかげで日本経済はまわっていた。
日本は外需だけではない。
内需でまわっている国なのだ。
日本国政府はこういう人たちを大切にすべきだった。
もっと手厚く手を差し伸べるべきだった。
少なくとも「家を売る」なんて悲しい決断をさせるべきではなかった。
奥さんの涙を観ていて切なくなってしまった。
それと同時に「悔しい」と思った。
「もったいない」とも思った。
この人たちに十分なお金を与えていたら、日本はもっと豊かになってたのに。
それなのに、日本経済にこれだけ貢献してくれた人たちにこんな悲しい決断をさせるなんて・・
一方において、企業の方も《カツカツ・ギリギリ》だ。
特に中小企業経営者は大変だ。
決して彼らも責められない。
別に彼らはやりたくて給与を減らしてきたわけじゃないのだ。
利益が出ない。
だから人件費を削るしかなかった。
別に経営者たちは従業員を虐めたくて給料を減らしたわけではないのだ。
もしも会社に利益がたっぷりあったら、もっとたくさん社員を雇って、もっとたくさん社員に給料を渡していただろう。
なかには社員をこき使って、私服を肥やすことしか考えてないブラック企業経営者もいるだろう。
しかし、日本の中小企業経営者のほとんどは(社員のほとんどがそうであったのと同じように)真面目で、責任感にあふれている。
でも『ない袖はふれない』のだ。
利益がないのだ。
会社が儲かっていれば、喜んで社員の給料を増やすこともできたのだ・・
すべての問題を解決するキーワードは、やはり『経済成長』だと思う。
それしかない!
アメリカもヨーロッパも中国も、経済成長を遂げている。
日本だけが経済成長していない。
何かがおかしいのだ。
日本は何か間違ったことをやってきたのだ。
だから経済成長しなくなってしまったのだ。
政府も、企業も、国民(個人)も・・
僕は政府だけの責任ではないと思うし、企業だけの責任でもないと思う。
個人だけの責任でもない。
でも『経済成長』さえしていれば日本はうまくいっていたと思う。
少なくとも、欧米並みに賃金は上昇し続けていたと思う。
これはみんなで考えていかなきゃいけない問題だと思う。
90年代に入ってから与党側が主張してきた財務省主導型の《財政再建》も問題だった。
でも野党側の「日本はもう人口減少社会に突入して経済成長なんて無理なんだから、みんなで平等に貧しくなろう」という《脱成長》も大いに問題があった。
みんなして間違った・・