フードデリバリーの配達を副業でやった場合の税金ってどうなってるの? 事業所得なの? 雑所得なの?
今回の記事では僕が副業でやってるフーデリの配達と税金のことについて書いてみたいと思います。
まず、大前提となるのがフードデリバリーの配達を「専業でやっているのか」、それとも(僕のように)「副業でやっているのか」ということ。
それによって何もかもすべてが変わってきちゃいます。
専業でUberEatsやWoltの配達をやられてる人というのは圧倒的に少ないと思います。
この記事をご覧になられてるみなさんも、おそらく《副業勢》だと思いますので、そっちをメインに記事にしたいと思います。
専業と副業の違いについて
専業の配達員の人というのは、僕らのようなサラリーマンや会社役員とまったく違って『個人事業主』という扱いになります。
個人事業主というものを説明するのもなかなかむずかしいところがあるのですが、配達員だとかライターだとかイラストレーターだとか飲食店の店主だとか、etc・・
芸能人や小説家などもそうかもしれません。
とにかく「個人」で事業をやって、その事業から収入を得ている人たち。
そういう人たちは僕らのような給与所得や役員報酬などがある、サラリーマンや会社役員とはまったく違う立場です。
そういう個人事業主は税金の面でも僕ら《副業勢》とはまるっきり違います。
何がいちばん違うかというと、そういう人たちというのは『青色申告』というものを利用できるのです。
そこが我々、《副業勢》とまったく違うところです。
副業の場合は青色申告できないので要注意
僕ら《副業勢》は青色申告というものを利用することはできません。
ときどき、「税務署に開業届さえ出せば、副業であっても青色申告を利用できる」なんて言ってる人がいますが、それは間違いです。
僕は税務署に行って確認しました。
・・というか、僕自身が副業なのに開業届と青色申告申請書を税務署に提出するという『完全なる間違い』をおかしてしまった張本人。
その間違いから僕は「副業の場合は青色申告を利用できない。たとえ開業届を出していたとしても利用できない」ということを学びました。
開業届を出したとしても副業の場合は青色申告できない
結論から先に言います。
副業でフードデリバリーの配達をやられてる方は『雑所得』になります。
それに対して、専業でやられてる方は『事業所得』になります。
どんなに開業届や青色申告申請書を税務署に提出したとしてもダメです。
すぐに税務署から指摘されなかったとしても、いつか税務調査が入ったときに否認され、修正申告および追徴課税になる恐れがあるので十分に気をつけましょう。
副業のフーデリ配達員は事業所得ではなく、雑所得で確定申告をしましょう。
だって、僕ら《副業勢》はあくまでもフーデリの配達は副業なんですから。
副業ということは個人事業主とは違うということなのですから。
当然そうなると、所得の種類も事業所得ではなく、雑所得ということになります。
ではなぜ、多くの《副業勢》は雑所得ではなく事業所得の方を選択したがるのでしょうか。
雑所得にはない事業所得の税務上のメリットとは何でしょうか。
それは、事業所得を選択すると青色申告が受けられるからです。
青色申告の主だったメリットは次のようなものが挙げられます。
青色申告を利用した場合の税務上のメリット
① 青色申告特別控除65万円が受けられる
② 赤字を最大3年間繰り越せる
③ 配偶者など家族へ給料を支払ってそれを経費にすることができる(専従者給与)
④ 30万円未満の資産ならば一括で経費にできる
確定申告の際に事業所得を選択し、青色申告をした場合、このようにさまざまな特典を利用することができます。
ところが、雑所得にはこのような特典はいっさい使うことはできないのです。
「えぇーーっ!」と思われるかもしれませんが、そこが事業所得と雑所得の違いなのです。
その代わり、僕ら《副業勢》はサラリーマンや会社役員としてさまざまな恩恵を受けています。
例えば、給与所得控除であったり、社会保険料であったり、etc・・
逆に個人事業主の方々は僕らのような特典はいっさい利用できません。
彼らには給与所得控除なんてものはありません。
そして、ご存じのとおり国民年金も国民健康保険も(たくさん稼いでる個人事業主の方はとくに)社会保険料よりもはるかに負担が重いです。
フーデリの配達で得られた報酬が雑所得しか選択できないことに僕も最初は驚きました。
だけど今ではそこはもう諦めるしかないと割り切っています。
間違って開業届を出してしまったらどうすればいいのか
お恥ずかしい話ですが、僕は間違って税務署に「開業届」と「青色申告申請書」を提出してしまいました。
そのときには副業の場合は事業所得ではなく、雑所得しか選択できないということを知らなかったのです。
当然のことながらこれらの青色申告の特典を自分も得られると思っていました。
税務署に開業届と青色申告申請書さえ出せば・・
① 青色申告特別控除65万円が受けられる
② 赤字を最大3年間繰り越せる
③ 配偶者など家族へ給料を支払ってそれを経費にすることができる(専従者給与)
④ 30万円未満の資産ならば一括で経費にできる
ところが、それが大きな間違いだということに途中から気づきました。
僕が自分の間違いに気づいたのはまだ確定申告する前だったので良かったです。
確定申告ではきちんと「雑所得」としてフーデリからの報酬を申告しました。
自分の間違いに気づいたときは慌てる必要はありません。
再び税務署に行き、今度は「廃業届」を提出さえすればOKです。
廃業するにあたり、その理由も書かなければならないのですが、僕は正直に次のように書きました。
副業の場合、事業所得ではなく雑所得だということを知りませんでした。
そもそも開業届を出す必要がなかったので廃業届を提出します。
税務署からその後、何も言ってきてないのでたぶんこの書き方でOKだと思います。
みなさんはくれぐれも僕のように恥をかかないようにしてくださいね!
副業からの収入が20万円以上あった場合は確定申告が必要
フードデリバリーの配達は意外にすぐに稼げちゃうと思います。
ブログやYouTubeなどからの広告収入を目指したりすることに比べたら、「稼ぎやすさ」という点でいえばフーデリの配達が圧倒的に稼ぎやすいです。
おそらく、配達員の登録が完了し、路上に出たらすぐに注文が入り、報酬が得られるでしょう。
だから普通に稼働していれば、年間20万円以上稼ぐことは簡単にできてしまうと思います。
そして、給料や役員報酬以外の所得が年間20万円以上あった場合は確定申告必須となりますのでくれぐれも注意してください。
逆に言えば、給与所得以外の所得が年間20万円以下であった場合は確定申告は不要となりますので、合わせておぼえておきましょう。
でもフーデリの配達を普通にやってたら年間20万円以上なんてラクに稼げちゃうとは思いますが・・
フーデリの配達にかかる経費について
副業でフーデリの配達をやってる配達員は事業所得ではなく、雑所得で確定申告をします。
雑所得ということは青色申告のさまざまな税制上の優遇措置は「利用できない」ということです。
ただし、フーデリの配達にもいろいろ経費というものはかかるはずです。
その分はもちろん経費として差し引いて確定申告すればいいのです。
「所得」というのは収入とは違います。
収入から経費を差し引き、その残ったものが「所得」となります。
ただし、その経費がどこまでが業務(仕事)で使ったものなのか、プライベートで使ったものなのかは明確にしておく必要があります。
そして、もしも税務調査が入ったときにそれをきちんと説明できるようにしておかなければなりません。
これは『家事按分』といいます。
フーデリの配達の必要経費とは主だったところではこれらのものが挙げられます。
・フードデリバリー専用のバッグの購入費用
・自転車
・バイク
・自動車(軽貨物)
・スマホの通信料
・車両運搬具の修理代やメンテナンス費用など
青色申告特別控除などの青色申告をした人だけが得られる特典が利用できないからといって雑所得の人は「経費はいっさい何も計上できない」というわけではありません。
これらのフーデリの配達の仕事に必要な経費は堂々と計上しても何も文句を言われないはずです。
家事按分に注意!
ただし、仕事とプライベートの按分だけはきっちりと明確にしておく必要があります。
その家事按分のところだけきちんとしてさえいれば大丈夫だと思います。
さらに、バイクや軽自動車など高額なものに関しては『減価償却』という問題が出てきますので、そこにも注意が必要です。
具体的にいうと、10万円以上の資産を購入した場合は減価償却費分しか経費で落とすことができません。
たとえば200万円の車を買ったからといって1年間で一気に200万円の経費が落とせるわけではないのです。
減価償却というものをやり、その減価償却分しか1年間に経費として落とせないので十分に注意が必要です。
この辺は事業所得でも雑所得でも同じです。
副業の場合は確定申告の際に決算書を提出する必要はない
我々のようなフーデリ副業勢は専業の人と違って、確定申告の際に「決算書」を提出する必要はありません。
この小難しい書類を我々、《副業勢》は提出する必要がないのです。
専業の人は事業所得として申告し、青色申告をするのでこれらの書類を揃える必要があります。
決算書の作成を自力でやるのはかなり大変などで通常はfreeeや弥生会計などの「会計ソフト」というものを使います。
これらの会計ソフトは無料ではありませんので専業でやる場合はそれらの会計ソフトにも年間数万円支払わなければなりません。
そして、ここでもうひとつ僕の恥ずかしい話を・・
開業届、青色申告申請書に続いての第三弾です。
僕はなんと(愚かしいことに)、フードデリバリーの配達をはじめる際にfreeeという会計ソフトも購入してしまったのです。
1万円以上のお金を支払ったような気がします。
青色申告する際には決算書というものも税務署に提出しなければならないということを知り、慌ててfreeeと契約しました。
結論から言ってしまえば、そんなことをする必要はまったくなかったのです。
理由はもうお分かりですね。
僕の場合、副業なので事業所得ではなく、雑所得で確定申告するからです。
だから雑所得なので決算書を税務署に提出する必要もないのです。
みなさんはくれぐれも僕と同じようなミスは犯さないようにしてくださいね。
freeeに支払った1万円、はっきり言って損しました・・
超過累進税率について
事業所得であろうが、雑所得であろうが、個人が確定申告をする場合は「所得税」というものを支払うことになります。
そして、この所得税というやつは所得が多い人から順に税率が高くなる仕組みになっています。
これを『超過累進税率』といいます。
こちらの一覧表も見ていただけるとわかると思います。
最高税率は45%となっています。
いちばん最低ランクだと5%の税率で済んでいます。
おそらくこの記事をご覧になられてる方は20%とか23%とかのクラスの方なのではないでしょうか。
所得にすると、330万円〜900万円までの人。
1年間の所得がこれレベルの人はだいたい20%〜23%の税率が課せられ、その分の所得税を国に納めなければならないことになっています。
まとめ
フーデリの配達を副業でやられる方は雑所得で確定申告をすることになります。
事業所得ではないので、くれぐれも間違わないようにしてください。
雑所得ということは青色申告も利用できません。
当然、青色申告特別控除などの青色申告を利用すると得られる特典も利用できません。
「開業届を出せば青色申告できる」と言ってる人もいますが、それはまったくの間違いなのでくれぐれも注意してください。
その代わり、貸借対照表や損益計算書などの決算書を準備する必要もありません。
決算書を準備する必要がないということは副業勢の方はfreeeなどの会計ソフトを購入する必要もないということです。
それらが必要なのはフーデリを専業でやられる方です。
個人事業主の方です。
圧倒的に多いのは副業の方だと思います。
みなさんは僕のように間違って税務署に開業届や青色申告申請書を提出したり、会計ソフトを購入したりしないようにしてくださいね。笑