トモヤブルー

フーデリの配達料(副業)で株式投資やってます。本業は会社役員(不動産関連)です。

イギリスのトラス新首相が大型減税策を撤回した理由

 

先月、イギリスでトラス新首相が誕生しました。

そして、大型減税を柱とする経済対策を発表。

これが波紋を広め、株価は暴落。

慌ててその経済対策の柱である減税策を撤回することになります。

 

なぜこんなことが起こったのでしょうか。

 

最高税率は45%から40%に引き下げる減税策。

通常であれば減税というのは景気を良くし、経済を盛り上げる特効薬として国民や市場関係者から歓迎されるはず。

それなのに、今回の減税策を発表した直後、イギリスの株価は暴落しました。

 

それを受けてアメリカの株価も日本の株価も下落。

しかし、トラス新首相が減税策の撤回を発表するとイギリス、アメリカ、日本ともに株価は一気に暴騰しました。

いったいこれはどういうことなのでしょうか。

 

今回、イギリスのトラス新首相が減税を撤回したいちばんの理由はやはり『インフレ』です。

ご存じのとおり、イギリスは(もちろんアメリカもだけど)本格的なインフレに見舞われています。

その要因はコロナ禍後の供給制約やウクライナ戦争などのコストプッシュインフレもあります。

 

しかし、それに加えてデマンドプルインフレもあります。

アメリカも同じなのですが、イギリスも経済は決して悪くないのです。

コロナという未曾有の大災害があったので各国政府は思いきった財政出動や金融緩和をやりました。

 

その結果、何が起きたのかというとコロナ前よりも景気が良くなったのです。

人々の元には政府からお金が舞い込み、減税もされ、企業や国民は以前よりもリッチになったのです。

当然そうなると需要が拡大し、やがてその需要が供給を上回るようになります。

 

そうすると何が起こるのか?

そう、本格的なインフレになります。

イギリスもアメリカも今、そういうインフレに見舞われているのです。

 

そこにコストプッシュインフレも加わり、欧米のインフレ率はご存じのとおり10%に迫る勢いなのです。

 

そういう状態のイギリスの経済に「大型減税」なんてものが導入されたらどうなるでしょうか。

火に薪をくめるようなものです。

インフレがさらに激しくなり、国民は減税で受けるメリットが帳消しになってしまいます。

 

だからトラス新首相は急遽、減税策を撤回するハメになったのです。

その決断が市場関係者に好感され、欧米と日本の株価は一気に上昇したのです。

 

 

ひるがえって、日本の状況はどうでしょうか。

日本の場合はイギリスやアメリカと状況がだいぶ違います。

 

日本のインフレ率は(それでも以前よりは高くなってはきたけど)、コアコアCPIで見てもいまだに1.6%しかない。

日本は「これから」景気を拡大し、経済は発展させていかなきゃいけない局面なのです。

 

だから日銀の黒田総裁の金融緩和継続という判断は正しいのです。

イギリスやアメリカの中央銀行が利上げをしたとしても、日本はやってはいけないのです。

 

なぜなら、日本経済の状況はイギリスやアメリカのそれとまったく違うからです。

それなのに黒田日銀総裁はあちこちから攻撃されています。

正しいことをやっているのに・・

本当に気の毒な話だと思います。

 

日銀は正しいことをやっています。

金融緩和継続で正しいのです。

じゃあ、なんで日本のインフレ率は欧米に比べてこんなに低いのか。

 

景気が回復の途上にあるからです。

こういう回復の途上にある場合はおもいきって「アクセル」を踏まなきゃいけません。

つまり、欧米の政府がやったように大胆な財政出動や減税をやればいいんです。

 

ところが日本はそれができません。

財務省が睨みをきかせているからです。

国民の方も「国債は子や孫へのツケ送りだ」とか「ワニの口」だとかといった財務省プロパガンダにすっかり騙されてしまっています。

 

だから日本はなかなか欧米のように本格的なインフレにならないのです。